アライグマの基礎生態

 

  1.基本情報

 [分布状況と侵入経路]
 原産地は北アメリカ(カナダ南部からパナマ)。日本で最初のアライグマの侵入は、1962年に愛知県
犬山市の動物園飼育個体の逃亡によって発生し、生息域は岐阜県にも拡大しました。
続いて、北海道恵庭市でも飼育個体の逃亡からアライグマが定着しましたが、その後も日本各地で侵
入が確認され、
2000年時点で確実な侵入地は、北海道・埼玉・千葉・東京・神奈川・岐阜・愛知・京都・大阪・
兵庫・和歌山など
17の都道府県になりました。
その後も生息域は急速な拡大を続け、
2018年の環境省発表では、生息情報のないのは3県だけとなり、
全国に広く生息する状況になっています。

これらの侵入の原因は、飼育個体の逃亡・遺棄と見られています。日本ではアニメの影響などで人気
が高く、ペットとして輸入されてきましたが、手先が器用なため、ケージから逃げる個体が多く、飼育
管理の徹底を図らなかったために全国各地に侵入定着する結果となりました。
 今後は、生息地域の拡大防止に加えて、生息密度の抑制と地域からの排除が対策の中心となる段階に
来ています。

 [形態]
  
頭胴長4260cm、尾長2041cm、体重410kg。体毛は灰褐色で、目の周囲にはっきりした黒いマス
  ク模様、尾に黒い環模様があること、臼歯が上下とも
2対であること、蹠行性の歩行のために足跡は明
  瞭に残り、
5本指の形状とその大きさから在来哺乳類との区別は容易。 

 [生態]
  夜行性で、水辺を好みますが、森林、湿地、農耕地、市街地など幅広い環境に生息。雑食性で、野外
 に定着した個体は、果実・野菜・穀類、小哺乳類・鳥類・両生爬虫類・魚類・昆虫その他の小動物全般
 を幅広く採食。家畜飼料やトウモロコシの食害も稀でありません。

 年1回春に、約2カ月の妊娠期間の後、36頭(34頭)の仔を産みます。流産や出産初期に仔が死
 亡した場合は再度排卵して出産することもあります。
 河畔の小さい林地などに巣穴を掘り、集団で生活します。

 行動圏は環境によって大きく異なりますが、都市部では数ヘクタール、農村部では数十ヘクタール。
 他の個体を排除する“縄張り”はなく、
1平方キロメートルに数頭〜20数頭が生息します。

 定着過程を見ると、北海道においては食料と巣の確保が容易な酪農地帯に最初の定着が生じて繁殖の
 温床となり、周辺地域に分散個体を供給しました。現在アライグマが急増中の神奈川県鎌倉市の場合に
 も、家屋の天井裏や空き家が格好の繁殖場となっています。定着に際して人間の生活圏を積極的に利用
 していることが、定着過程の特徴です。
 

 [影響]
 
侵入の影響としては、農業等被害やアライグマ回虫症といった人間生活への直接的被害のほかに、捕
 食・競合による在来種への影響が危惧されます。実際に北海道では、二ホンザリガニやエゾサンショウ
 ウオの捕食やアオサギの集団営巣放棄といった事態も報告されています。
  日本には有力な天敵が存在しないことから、今後各地で在来種への悪影響の拡大が予想されます。

 [対策]
  
現在日本各地で有害鳥獣駆除による捕獲が進められていますが、有害鳥獣駆除は被害が減少すれば実
 施されなくなるため、アライグマ根絶のための根本的対策が望まれます。
  政府のアライグマ対策の最終目標は根絶、北海道の目標は「地域からの排除」です。
  北海道では、
2001年より条例によってアライグマをはじめとする特定外来動物管理の徹底を図ってい
 ます。全国的にもこうした飼育個体の管理に加えて、生息数推定や繁殖パラメータなどのデータを基礎
 とする個体群変動モデルに基づいた科学的駆除プログラムの策定とその実施が急務となっています。

  2.分布拡大状況

   環境省は、20188月、国が定める特定外来生物アライグマの分布域が、約10年前と比べ全国で3
  近くに広がったとの調査結果を発表しました。
  生息情報がなかったのは
3県だけで、「繁殖力が強く、さまざまな環境で生息できるため、分布域が拡
  大している。
  引き続き捕獲などの対策が必要だ」としています。
  詳しい全国的な分布状況は、環境省のホームページをご覧下さい。

  北海道においては、道庁のとりまとめによると、201812月末現在、全道のほとんどを占める156
  町村でアライグマの生息が確認され、捕獲個体数および農業等被害額は年々増加し続けており、かつて
  ない深刻な状態が進行しています。
  最新の詳しい分布状況は、道庁のホームページ>環境生活部>環境局生物多様性保全課>アライグマ対
  策のページ(
www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/alien/araiguma/araiguma_top.htm)をご覧ください。 

  3.捕獲に必要な手続きとその手順

     動物愛護法、鳥獣保護管理法、外来生物法、廃棄物処理法などの諸法律、地方自治体の条例、規則、
   公的な推進計画や実施指針などに従い、深川市においては、以下のような手続きを踏んでアライグマ
   の駆除
(捕獲)にあたることとなっています。

  @アライグマ捕獲講習会に出席する3月前半)。

     (1) きたそらち鳥獣害防止対策協議会が主催し、深川地区を対象に、毎年3月前半、JAきたそらち営
     農センター会議室で開催される。

     (2) これを受講しなければ、「アライグマ等防除従事者」に登録されない。その登録は年度単位なの
     で、毎年受講する必要がある。

     (3) 講習会の開催案内状は、JAからJA組合員全員に来る。JA組合員でないアライグマ等防除従事者に
     も市役所から郵便で来る。それ以外の一般市民は、深川市のホームページで開催を知る。

  A「アライグマ等防除従事者証」が発行される4月上旬)。

     (1) 上記の講習会を受講した人のうちアライグマ駆除(捕獲)をやりたい人は、4月上旬、「アライグマ
     等防除従事者登録申請書」を
JA農業振興部振興課(JA組合員の場合)か深川市農政課(JA組合員
     でない人)に提出する。
     申請書の用紙は、
JA組合員でない人には、3月中に深川市農政課から送ってくる。
     この申請書を提出したら、まもなく「アライグマ等防除従事者証」が発行される。

     (2) 上記の申請書の中に捕獲場所を書く欄があり、他の人の土地で捕獲する場合は、地主の同意書も一
     緒に提出する。

  B箱罠借用申請書を出して箱罠を借りる4月上旬)。

      (1) JA組合員でない人のうち、深川市所有の箱罠を借りたい人は、上記の防除従事者登録申請と同時
     に、「箱罠借用申請書」を深川市農政課に提出する。防除従事者登録が終わったあと、農政課に
     行って、「箱罠貸出書」と箱罠の現物を受け取る。

  C捕獲後の対応4月中旬以降)。

      (1) JA組合員の場合]アライグマを箱罠ごと二酸化炭素処理器に入れるか電気止め刺し器を使って
     自分で殺処分をし、遺体を深川市有害鳥獣処理施設に運んで出す。処分料は無料。
     この時施設からもらった受け取り証を
JAに出すと、後で四半期ごとにJAから農林有害鳥獣駆除の
     報奨金が
1匹につき\3,000振り込まれる。

      (2) JA組合員でない人]アライグマが捕獲できたら上記の施設に連絡する。
      その施設職員が来て、アライグマを箱罠ごと運んで殺処分してくれる。
      電気止め刺し器があるなら、自分で殺処理して遺体をその施設に運んで出しても良い。
      エッグトラップで捕獲した時は、電気止め刺し器で殺処分する。

          JA
組合員でない人には、報奨金は出ない。

   
  D箱罠を返却し、報告書を出す
(終了時)。

      (1) JA組合員でない人は、捕獲業務が終わったら農政課に「防除活動状況報告書」を提出し、借用し
     ていた箱罠を返却する。
   

  3.アライグマ駆除の基本

     @ アライグマは、国が駆除を統括する特定外来生物なので、駆除を行う人は登録が必要です
     (無登録者による駆除は違法です)。

     A アライグマがいなかった元の地域の状態を取り戻すことが、国および道のアライグマ対策の目標
     です。

     B 自分の畑に出るアライグマだけ捕っていても、やがて別のアライグマがやってきて、毎年同じこ
     とが繰り返されます。つまり、地域の人達が協力して、計画的で強力な捕獲活動を行い、アライ
     グマがいなかった元の状態に戻すことが真の解決策となります。

     C そのためには、定められた手続きをとり、捕獲を行った後は結果を報告して、地域全体の生息状
     況や捕獲が十分かどうかを把握しながら駆除対策を進めることが必要です。
 

  4.アライグマ駆除における注意事項  

  【捕獲方法】

      狩猟免許を持っていない人が行える捕獲方法は、各種の「箱罠」と「エッグトラップ」しかありま
   せん。箱罠は比較的扱いやすいため、普及しています。エッグトラップは穴に入れた前肢が抜けなく
   なるアライグマ専用の罠ですが、箱罠にない短所もあり、あまり普及していません。
 

  【殺処理】

  殺処理する場合は、動物愛護法により、「できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしな
  ければならない」と定められており、普通の人には、二酸化炭素(
CO2)吸入処理と電気殺(電気止
  め刺し)しか許されていません。(獣医師には薬殺、狩猟免許を持っている人には銃殺もある。)

    二酸化炭素処理器は、深川市内には、市役所とJAが管理するものが2つあります。電気止め刺し器は
  、深川市内にはありません(深川ひきがえるバスターズでは
2019年度に購入します)。

  【運搬】

  特定外来生物であるアライグマは、生きた状態で運搬することが禁じられていますが、地方公共団
  体職員および防除従事者が処分のため一時的に運搬することは違法ではないと見なされています。